カーシェアで高齢者の足確保 米崎町の上浜田地区 試験経て本格運行へ 

▲ 運営組織「上浜田アッシー君」の設立を決めた会議

住民による運営組織発足

 

 陸前高田市米崎町上浜田地区で、地域で車を共同利用する「コミュニティ・カーシェアリング」が本格的に始まる。高齢者の移動を住民自ら支え、地域コミュニティー形成につなげる取り組みで、テスト運行を経て23日、住民有志でつくる運営組織が発足した。県内の導入は初めてといい、持続的な運営、取り組みの拡大を目指す。

 23日は、米崎町の上浜田構造改善センターで運営組織の設立会が開かれ、住民13人が参加。取り組みをサポートする日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)の吉澤武彦代表理事(43)が進行役となり、「上浜田アッシー君」という組織名や役員、ルール・会則などを決めた。
 コミュニティ・カーシェアリングは、支え合う地域づくりが目的で、自分たちが決めたルールの範囲内であればニーズに合わせて柔軟に利用できるのが特徴。利用頻度や移動距離に応じて支払う負担金を積み立て、一定期間ごとに運行経費(車両維持費や燃料代など)と積立金の過不足を精算して利用者の分担額を決める。
 上浜田地区では住民有志が、同協会から車両1台(5人乗り)を無償で借り、8月にテスト運行を開始。毎週水曜日、自宅から高田町の商業施設「アバッセたかた」や県立高田病院などに高齢者を送迎する「買い物ツアー」を行ってきた。
 それ以降、市内を巡るお出掛けツアーや水曜日以外に出掛ける外出支援も企画。運行の継続を求める声が多く、本格的な導入を目指してきた。
 現在、登録利用者は20人、ボランティアドライバーは5人。トヨタ・モビリティ基金からの助成金で賄っているため、年度内の経費は無料だが、来年4月からは月額3万5000円程度の経費を自力で捻出する必要があり、資金確保にも努める。
 上浜田地区は、佐野、高木、高畑の3地域合わせて約150世帯で構成。高齢化が進み、移動の足確保が喫緊の課題となる中、1〜7月は無料の乗り合い車両を試験的に運行し、8月からコミュニティ・カーシェアリングに切り替えた。
 アッシー君を頻繁に利用している細谷ヨス子さん(84)は「車を運転できない人にとって、とてもありがたい活動。みんなと会っておしゃべりして、元気をもらう。これからも続いてもらわないと困る」と話す。
 吉澤代表理事は「組織発足に至りうれしい。ただスタート地点にようやく立っただけ。地域を支える持続的な仕組みを自分たちで築いていくというモデルとなってほしい」と期待する。